at Favorite Place・・・お気に入りの場所で 2010年12月15日

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罪滅ぼしのリンゴ

12月15日(水曜日)

小さな子どもは、時として思いがけなく胸に響く言動をすることがある。

きょうもそうだった。

陽が落ちはじめた夕刻、いつものように職場の給食ブログを書き込んでいた時だった。
4歳の男の子が体調を悪くして、事務所にお昼寝用の布団を敷いて横になっていた。
ひょっとして今はやっている”胃腸風邪”かも・・・と、いつ吐いてもいいように準備をしていたのだが、やはり来る時は一気・・・間に合わず布団の上に嘔吐してしまった。

私の足元で寝ていたにも関わらず、アッ!と思ったもののすぐに動けず、処理は主任がしてくれたのだが、これが私一人だったとすれば、すぐに動いててきぱきと処理したかも知れない。
どこか心の隅で・・・パソコンに向かっているのをいいことに、主任がしてくれるかな?・・と、逃げ腰になっていたかも・・・ずるいよね・・・私。

熱の出始めなのか、「寒い・・・寒い・・・」と言う子の、洋服と防寒着を彼の衣類箱から持って来て着せて、毛布にくるませて再び布団に寝かせる。
ここでも・・・部屋の換気をしないと感染力の強いウイルスだからもらうかな・・・と、自分の身を守ろうとする心が動く。
換気の為にちょっと窓を開けると・・・「komaさん、さむい~~」と言う。
あ~、悪い、悪い・・・と慌て閉めるものの、これが我が子だったら絶対に開けたりはしないよな~~・・・
これもエゴだよね・・・

給食ブログのアップが終わったので、帰る準備をしていると、

「komaさん、帰るの?」と、不安そうな顔で問いかける。

この子は早朝来る子で、私が受け取っている。
そして・・・この春に、この子の母親は、どんな事情があったのか知らないが、この子と兄を残して家を出て行ってしまったのだ。
「かあちゃん、出て行った。」・・・寂しげな顔も見せないで、私に報告をしてくれたのだ。
そんな姿がたまらなく切なく、愛おしくて・・・たまにぎゅ~っと抱きしめてあげるのだが・・・・

不安そうに・・・「komaさん、帰るの?」

きっと父親が迎えに来るまで、私に側にいて欲しかったんだろうな。

翳(かげ)りを見せる瞳が気になりつつも、
「○○主任さんがいるから大丈夫よ!」「担任の先生もいるし、もうすぐお父さんが来てくれるよ!」
と、言って、事務所を後にした。

その帰り道、私は自分を責めた。

どうして、ぎゅ~っと抱きしめてあげなかったのか・・・
嘔吐した後のしんどさや不安、こんな時こそ抱きしめて欲しかっただろうに・・・・
抱きしめようとした腕を引っ込めたのは、感染したくなかった自分のエゴだったのだ。

「komaさん、帰るの?」

帰路、この言葉と翳りを見せた瞳がぐるんぐるん頭の中を巡って、私は涙がにじんでしまった。

そして我が家の玄関に入ったとたん・・・キッチンにあるリンゴを二つ、袋に入れて職場に車を走らせた。

嘔吐や熱がある時には、リンゴぐらいしか口に入らないはず。
若いお父さんは、きっとこんなことには気づかないだろう。

せめてもの・・・償い。

事務所に舞い戻った私を見て・・・「komaさ~~ん♪」って、布団の中から頭を持ち上げた。

「kちゃん、お家に帰ったら、このリンゴ、お父さんに皮をむいでもらって食べるんよ。」

・・・皮のままでも食べれるよ!

「うん、でもね、ゲボした後だから、今夜は皮をむいで食べるんよ。」

にじむ涙を見せないように・・・声が震えないように・・・やっとの思いでリンゴを彼の腕の中に入れた。

たった二つのリンゴだけど・・・それでこの子の声が弾んだことに、ちょっと救われた。

小さな体・・・・小さな心・・・・精一杯頑張って生きている姿が、むしょうに切なく哀しくて、しゃくりあげながら帰った。

出て行ったおかあさん・・・・今、幸せなのかな~~

1215apples


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